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糸綴じの本:目次

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■単発作品
「柵の向こう側」
「白イ花」
「りんご箱」

■異端見聞
「異端見聞:狐雨」
「異端見聞:フミキリ」

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- | 2011.02.18
 インテルメッツォ:2


私は、手にとったジェシーという人形に視線を落とす。
目隠しと、猿轡、両手足を縛る紐。
あまりにも可哀想で、外してしまおうと、手を伸ばす。

「おやめなさい」

伯爵が静かに制す。そして続けた。

「彼女にとって、その状態が完璧である事なんだ。持ち主の望みを叶えた、その状態であることが彼女の望みなんだよ」
「でも…」
「…人も人形も、愛する事ができると言う事が一番の幸せ。ジェシーは…完璧を望んだ。リデルのように人を愛する事を忘れてしまった」

伯爵はジェシーをこちらに、と手招きした。
私はジェシーと伯爵を交互に見つめてから、伯爵に渡した。

「もしかしたら、ジェシーは歪んだ愛情でもって彼等の側に居たのかもしれないね」
ジェシーの頬を指で撫でる。
「だとしたら、完璧なる聖母は歪んでいるのかもしれない」
「伯爵…」
「はは、蔑んでいるわけではないよ。完璧な物が人間を狂わせるならば、この世に蔓延する不条理もまた、神のせいだ。とは思わないかい?」
私は何も言えない。
「…完璧である存在は、人々を狂気に誘う。狂気に身を委ねる人間もまた、愚かなものだがね」

二つの人形を、伯爵は元の位置に戻した。そうして元のように揺り椅子に腰掛ける。
「そういえば、人形がどうして出来たか、知っているかね?」
「出来た由来ですか?…たしか、大昔の人間が神を具象化したのが始まりだったと思いますが」
「ふふ、まぁ歴史的にはそうなのだろう…だけど、もう一つ、由来があるんだよ」

伯爵が、揺り椅子に深く腰掛ける。

「人形が人の形を成すものと、名付けられた由来。全ての物事には原因が存在するのだよ」

きぃ、と少しだけ、椅子が鳴いた。


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D伯爵の童話 | 2006.12.19

- | 2011.02.18
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